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広島地方裁判所 昭和57年(わ)514号 判決

主文

被告人を懲役四年に処する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、

第一  昭和五三年六月ころ交通事故災害相互共済会なるものを設立し、交通事故の被災者やその家族の委任を受けて、示談交渉、保険会社に対する賠償保険金の請求等をしていた者であるが、後記大庭幸枝らから預かった国立呉病院医師大村一郎作成にかかる後遺障害診断書を変造して自動車損害賠償責任保険金を騙取しようと企て、別表一記載のとおり、昭和五五年二月八日ころ、広島県呉市西鹿田一丁目六番二七号の当時の被告人方において、行使の目的をもって、ほしいままに、いずれも交通事故により受傷した受診者大庭幸枝外二名に対する大村一郎作成にかかる自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書三通の各眼球障害欄に、青色ボールペンを用いて視力の数値等をそれぞれ記入し、もって、公務員である大村一郎医師の記名押印のある公文書三通(昭和五八年押第一二五号の1、2及び10)をそれぞれ変造し、同日ころから同月一二日ころまでの間、三回にわたり、同市中通二丁目一番二四号安田火災海上保険株式会社呉支店外一か所において、同支店員田中貞子外一名に対し、前記変造した診断書三通をあたかも真正な診断書のように装って、自動車損害賠償責任保険損害賠償額支払請求書とともにそれぞれ提出して行使し、右会社らをして、前記受診者らには、それぞれ右変造内容の後遺障害があるものと認定させて、保険金合計一四五八万円を騙取しようとしたが、前記診断書が変造されたものであることを発見されたため、いずれもその目的を遂げなかった

第二  弁護士でなく、かつ、法定の除外事由がないのに、報酬を得る目的で、別表二記載のとおり、昭和五四年九月ころから同五五年一二月二日ころまでの間、七回にわたり、広島県呉市中通一丁目五番二五号所在のマッターホルン整形外科病院ほか二か所において、佐々木久外五名から、同人らやその夫の被害に係る自動車交通事故に関し、自動車損害賠償保障法又は自動車損害賠償保険契約に基づく損害賠償等の請求及びその受領並びに加害者側との損害賠償についての示談交渉とその取りまとめ及びその示談金の受領などを依頼されてこれを引き受け、そのころ、右依頼者のために、富士火災海上保険株式会社広島支店等に対し賠償金等を請求受領し、又は、加害者に対する示談交渉、示談金の受領若しくは損害賠償請求についての訴状を作成して広島地方裁判所呉支部に提出するなどし、その報酬等として右佐々木らから合計四〇四万三六二〇円を受領し、もって、業として法律事務を取り扱った

第三  旧日本国有鉄道(以下、国鉄という。)呉線吉浦駅・天応駅間の落走トンネル付近の国鉄用地と自己が代表取締役をしている株式会社榎所有にかかる呉市梅木町の土地との境界付近に、士留擁壁等の防災工事を施工するにつき、国鉄に工事費用の分担を申し入れたところ、これを拒絶されたことに憤慨し、そのうっ憤を晴らすため、電車の往来に危険を生ぜしめてその業務を妨害しようと企て、昭和五七年七月二七日午後一時一五分ころから同日午後五時ころまでの間、国鉄山陽本線瀬野駅・八本松駅間の東広島市八本松町大字宗吉字大山杓子谷一五七番二及び同一五九番三所在の鉄道用地(神戸基点二八二・八一〇キロメートルないし二八二・九〇〇キロメートル付近)と境界を接している自己所有にかかる同町大字宗吉字大山杓子谷一五九番の土地上において、岡部哲をして、パワーショベルで、右境界に沿って自己所有の土地を深さ約三・八メートルないし四・三メートル、幅約二メートル、長さ約七六メートルにわたってことさらに掘削させ、その結果、特に上止六九号電柱付近路盤の掘削断面は著しく損なわれるに至り、土砂のスベリ、それに伴う電柱の転倒、架線の切断等が発生しやすい状況を作出し、もって、電車の往来の危険を生ぜしめ、かつ、同日午後四時三七分ころから同日午後八時二五分ころまでの間、山陽本線上り電車の運行を不能ならしめ、もって、威力を用いて国鉄の業務を妨害した

ものである。

(証拠の標目)省略

(争点に対する判断)

一  弁護人大国和江は、判示第一の各事実のうち、各有印公文書変造・同行使の点について、大村一郎医師作成名義の診断書というべき範囲は、大村医師の診断しうる専門の記載欄に限定されるのであって、大村医師が眼科医でない以上、本件各診断書の眼球障害欄に加筆しても、大村医師作成の診断書を変造したとはいえない、仮に変造に該当するとしても、被告人には行使の目的がなかった、詐欺未遂の点についても、被告人に故意はなかったので、いずれについても被告人は無罪である旨主張し、被告人も右主張に沿う供述をしているので、当裁判所が判示第一のとおり認定した埋由を補足的に説明する。

1  前掲の関係証拠によれば、判示第一のとおり、被告人が本件各診断書の眼球障害欄に青色ボールペンで視力数値等を記入し、保険金請求書とともにこれを各保険会社に提出したことは、被告人も認めるところであり、右記入後の各診断書により後遺障害の認定がなされた場合には、大庭幸枝に対して四四七万円の、奥川久司に対して六七二万円の、沖野スミヱに対して三三九万円の保険金が新規ないしは追加的に支払われたであろうことは明らかである。

2  そこで、まず、被告人による記入後の各診断書が眼球障害欄を含めて大村医師作成名義の文書といえるか否かについて検討するに、文書偽造罪における保護法益は、文書に対する公共の信用にあるところ、関係証拠によれば、確かに大村医師は眼科医ではないものの、右記入後の各診断書には、大村医師の記名押印があるのみで、大村医師の専門分野が何かについてまでの記載は全くないのであり、一般人からすると、診断書の体裁からしても、大村医師が全体について作成したものとして信頼するのが当然である。

3  次に、被告人の本件加筆行為が変造に該当するか否かであるが、前述のように、被告人が眼球障害欄には全く記載のない本件各診断書に、判示第一のとおり数値等を記入したこと明らかであるところ、これは大庭幸枝らに交通事故に基づく視力障害があるという事実を付加することになり、したがって、本件各診断書に新たな証明力を作出したものと言わなければならず、被告人の本件加筆行為が変造に該当することは明白である。

4  そこで、被告人に本件各診断書を変造し、変造した各診断書を保険会社に提出する際に、これを大村医師によって真正に作成された診断書として、行使する目的があったか否か、更に保険金を騙取するという詐欺の故意があったか否かについて検討する。

被告人は、この点について、被告人が本件各診断書に視力数値等を記入したのは、大庭幸枝らの視力障害について保険事務担当者の注意を喚起し、調査を促す意味で書いたのであり、保険会社に提出する際に、「不審な点があるから、三宮に直接電話してもらってくれ」と告げた、昭和五五年三月一三日ころ、自動車保険料率算定会広島調査事務所から自分のところに電話がかかってきた際、眼球障害欄は自分が書いたことを告げた上調査を要求した、更に同月一七日ころ、広島調査事務所に対して、眼科を抜きにして認定をしてくれと申し立てたなどと弁解している。

これに対して、田中貞子は、安田火災海上保険株式会社呉支店において、被告人から、同年二月八日ころ、奥川久司分の支払請求書の、同月一二日ころ、沖野スミヱ分の支払請求書の提出を受付けたが、奥川分の支払請求書を受付けた際、田中が「治療中ですから、認定は無理だと思います。」という旨告げたのに対して、被告人は、「いや、出してくれ。調査事務所へは、私が話しに行く。」などとは言ったものの、奥川分、沖野分いずれを受付けた際にも、被告人から「不審な点があるから、三官に直接電話してもらってくれ。」などと眼球障害欄の記載について問題があるということは何も告げられておらず、変造の事実は全く知らなかった旨、捜査官に対しても公判廷においても供述しており、また、当時自動車保険料率算定会広島調査事務所の所長代理をしていた三宮虔は、昭和五五年二月中旬ころ、担当職員石井哲哉、同片岡富士男及び同高木宏平から、被告人提出にかかる各診断書の眼球障害欄の筆跡が違うという報告を受けたが、被告人にそのことを告げたことはないし、被告人から眼球障害欄を被告人自身が書いたということを聞いたことも報告を受けたこともなく、また、被告人からは後遺障害の認定を早くしろという電話は何回もかかってきていたが、同年三月ころに、被告人から目の点を抜きにして認定を急いでくれという話はなく、そのような要求があったのは、同年七月ころであった旨供述している。更に、被告人から大庭幸枝関係の保険金請求書類を受付けたと思われる松尾千恵美は、当時のことにつき定かな記憶はないが、「書類に不審な点がある」などと聞けば、その不審点を問い、それが解明できるまで受付はしていないと思う、したがって、被告人からそのようなことを言われたことはないと思う旨供述しているのである。

右のように、被告人の弁解と田中らの供述は全く食い違っているが、前掲の関係証拠によれば、(1)被告人は、大庭幸枝、奥川久司や沖野秀明からそれぞれ相談を受け、国立呉病院で診察を受け、内科と眼科の診断書をもらってくるように告げたこと、(2)大庭らは、昭和五五年二月三日ころ、それぞれ内科医大村一郎作成の本件各診断書の発行を受けたこと、(3)そのころ、眼科医衣笠治兵衛は、大庭らからの眼科の診断書の申請に対して、大庭については糖尿病によるものと考えられることから、また、沖野については白内障によるものと考えられることから、それぞれ診断書の作成を断り、奥川については交通事故によるものか否か判断できなかったため、診断書の作成を留保していたこと、(4)被告人は、昭和五五年二月初旬ころ、大庭らからそれぞれ本件各診断書を受取ったこと、(5)被告人は、同月八日ころ、大村医師が本件各診断書を作成する際に使用した青色インクと同色のボールペンを使用して各診断書の眼球障害欄に視力数値等を記入したこと、の各事実が認められ、これらの事実を総合すると、被告人としては、大庭及び沖野については眼科の診断書が作成されないことを知りながら、また、奥川については、診断書が作成されるか否か分からない状態であったにもかかわらず、一見しただけでは分からないように同色のボールペンをわざわざ使用して記入していることが認められるのであって、もし仮に、被告人が弁解するように、被告人が田中らに対して前記のとおり記入後の各診断書に問題がある旨を告げたとするならば、田中らは受付を拒むのが当然と考えられるのに、田中らは現に受付けていることを併せ考えると、田中らの供述は十分信用できるのであって、被告人の右弁解は到底信用できない。

したがって、被告人は、本件各診断書を変造した上、これを真正に作成されたもののように装って、支払請求書に添付して提出したのであって、被告人に行使の目的及びこれによって、保険会社から判示のとおりの金員を騙取しようという詐欺の故意があったことは明らかである。

5  以上により、弁護人の判示第一についての主張は採用できない。

二  次に、弁護人新川登茂宣は、判示第二の事実について、本件起訴は別件の有印公文書変造・同行使・詐欺未遂事件における違法な押収手続に基づいて収集された証拠に基づくもので、検察官が公訴権を濫用したものであるから、公訴棄却されるべきである、仮にそうでないとしても、被告人が判示の法律事務を行ったのは、交通事故災害相互共済会(以下、共済会という。)としてであり、被告人には報酬を得る目的がなかったのであって、無罪であると主張し、被告人も右主張に沿う供述をしているので、以下当裁判所が判示第二のとおり認定した理由を説明する。

1  まず、公訴棄却の主張について検討するに、被告人は、捜査官が自分に任意同行を求めて連れ出した上、事情を知らない榎繁子の無知に乗じて本件証拠を押収したなど述べているが、関係証拠によれば、本件の「沖野スミヱ関係同意書等在中のファイルー冊」などの押収については、昭和五五年一〇月一日付の榎繁子名義の任意提出書、司法警察員小原治朗名義の同日付の領置調書がそれぞれ作成されており、その押収(任意提出、領置)手続には、何等の瑕疵や違法な点は窺えないのであり、しかも、その際押収した前記ファイルなどは昭和五五年一〇月一六日から同年一一月二七日までの間に榎繁子に仮還付あるいは被告人に還付されており、本件起訴は、これらの証拠物を直接の立証根拠としてしたものではなく、これらが捜査の端緒になったという面は否定できないにしても、渡辺義照などの事件関係者の取調べの結果、あるいは同人らから適法に任意提出を受けた領収書等を立証根拠としてなされているのであって、何等の違法もなく、公訴権の濫用などまったく問題にならないものである。

2  次に、被告人に報酬を得る目的があったか否かについて検討する。

被告人が判示第二のとおり、弁護士でなく、かつ法定の除外事由がないのに、昭和五四年九月ころから同五五年一二月二日ころまでの間、七回にわたって、マッターホルン整形外科病院などにおいて、佐々木久らから、同人らの交通事故に関し、自動車損害賠償保障法等に基づく損害賠償等の請求などを依頼されてこれを引き受け、富士火災海上保険株式会社広島支店等に対し、賠償金等を請求するなどして、佐々木らから合計四〇四万三六二〇円を受領したことは、被告人も概ね認めるところであり、前掲の関係証拠からも明らかであるところ、この関係証拠によれば、(1)共済会は、登記された法人組織ではないこと、(2)共済会は、一応会則は有しているものの、会の運営にあたっていたのは、代表会員と称する被告人と事務員の守田英子だけであったこと、(3)右会則によると、共済会の業務として、和解についての助言をするということになっているが、実際には、被告人は、それにとどまらず、佐々木久ら六名全員から委任を受けて、加害者あるいは損害保険会社との間で示談交渉等をしていること、(4)沖野秀明は、昭和五五年六月ころ、被告人から七五万円の賠償金を受取った際、共済会に寄付してくれと言われ、礼のつもりで五万円を被告人に渡したこと、(5)渡辺義照は、被告人から損害賠償金をもらったときには、共済会にその二〇パーセントを寄付してくれと言われ、寄付等の名目で合計二九万円を被告人に渡したこと、(6)丸岡健司は、被告人に謝礼のことをいったら、共済会の方へ寄付してくれと言われ、合計五九万円を寄付等の名目で被告人に渡したこと、(7)佐々木久は、被告人が代理受領した金員の中から、七四万円を謝礼等として被告人に差しあげると言い、これを受けた被告人は、七四万円及び同人の債務の支払に充てる金員を控除した残額のみを同人に送金したこと、(8)小田光子が、被告人に二二〇万円を渡したのは、礼のつもりであったこと、(9)被告人は、守田英子に対して、六万三六二〇円は手数料としてもらっておく、一一万円については、裁判費用として出してくれと言っているのに対し、同女は、右各金員は被告人に対する報酬の意味をも含んでいる旨証言していること、の各事実が認められる。

被告人は共済会を財団にする計画であった、本件各法律事務を行ったのは、共済会の代表会員としてであると弁解するが、現在に至るまで共済会は被告人から独立した団体としての実質を全く有していないのであって、本件各法律事務は被告人が個人として行ったものといわざるを得ず、また、被告人は謝礼は受取れないから共済会に寄付してくれるように申し向けて、丸岡らから寄付金等の名目で金員を受領してはいるものの、共済会が被告人から独立した団体といえない以上、それらの金員は被告人個人に帰属したものというほかなく、その趣旨には報酬も当然含まれているというべきであって、被告人の弁解は到底信用できない。

したがって、被告人に報酬を得る目的があったことは、明らかである。

3  以上により、弁護人の主張はいずれも採用できない。

三  弁護人大国和江、同河村幸登は、判示第三の事実について、被告人が、電車の往来に危険を生ぜしめて国鉄の業務を妨害しようと企てたことはないし、本件掘削によって往来の危険が発生した事実もなかったことなどを理由に、被告人は無罪であると主張するので、以下、検討する。

1  本件掘削に至った経緯について

前掲の関係証拠によれば、(1)昭和五三年一月一三日、被告人は、東広島市八本松町大字宗吉字大山杓子谷一五九番の土地(以下、本件土地という。)を購入したが、南側に隣接する国鉄所有の鉄道用地との境界が不明確であったことから、昭和五四年ころ、鉄道用地の法面の下付近を境界とすることで国鉄側と合意し、被告人は、公図に記載されている土地の幅に基づいて北側に隣接する瀬野川を狭める形で造成工事をしたところ、瀬野川を管理する広島県から河川敷に侵入していることを理由に工事の中止命令がなされたこと、(2)昭和五六年八月二五日ころ、被告人は、広島県知事に対し、本件土地にビジネスホテル建設のための新築許可申請をしたが、同年九月三〇日不許可となったこと、(3)同年一二月ころ、被告人が代表取締役をしている株式会社榎が、国鉄呉線吉浦駅・天応駅間の落走トンネル付近の国鉄用地付近にある呉市梅木町一三九番の三の土地(以下、呉の土地という。)を取得したこと、(4)昭和五七年四月ころ、本件土地と国鉄用地の境界が誤っていたということで、法面の中間にコンクリート製の境界杭が打ち込まれたこと、(5)被告人は、呉の土地にドライブインを建設することを計画したが、呉市から呉の土地付近の落走トンネルの通っている裏山の防災工事をするよう勧告されたため、国鉄に防災工事をしてくれるよう申し入れたが受け入れられず、国鉄側との話し合いの結果、被告人が自己の費用で工事をすることとなり、同年六月二八日ころ、右に関する覚書が交わされ、被告人は、その後間もなく工事に着手したこと、(6)ところが、同年七月一四、一五日ころの大雨によって、裏山の法面が崩れ、土砂が呉の土地や国道三一号線に流出したこと、(7)七月一六日ころ、被告人は、右事故の原因は防災工事をしなかった国鉄にあるとして、防災工事をする費用としてその半分の二五〇万円を負担するように求めたが、国鉄側は、被告人が前記工事の際国鉄の設置していた土留壁等を壊すなどしたことに基づく事故であるとして、被告人の要求に応じなかったこと、(8)七月一九日ころ、被告人は同様の要求をしたが、国鉄側はこれを拒絶したこと、(9)七月二〇日ころ、当時海田市保線区長であった杉原亨典は、当時広島鉄道管理局施設部長であった町井且昌に、被告人が、二五〇万円支払わなければ本件土地を掘削すると申し向けている旨報告し、杉原らは本件土地付近を視察した上で、七月二一、二二日ころ、掘削に対処するため本件土地と国鉄用地との境界に鋼矢板を打ち込むことを決め、国鉄の指名下請業者である藤岡組に工事を発注したこと、(10)七月二三、二四日ころ、藤岡組の代表藤岡次三は、被告人に対して、右受注に基づき工事をするについて、本件土地に入って工事をすることの承諾を求めたこと、(11)七月二六日、被告人は、広島鉄道管理局で町井に面会し、前記二五〇万円の分担を求めたが、結局物別れに終わったこと、(12)同日、被告人は、本件土地付近において、当時海田市保線区土木助役であった瀧谷正に対して、「明日昼ころから用地の境界に沿って掘るぞ。」、「今後一切国鉄関係の者は自分の土地に入るな」などと申し向けたこと、(13)同日、被告人はいむら産業有限会社の高木勝彦に電話して、パワーショベルを貸してくれるよう依頼したことの各事実が認められる。

2  昭和五七年七月二七日の状況について

前掲の関係証拠によれば、(1)午前一〇時ころ、被告人、岡部哲及び吉川博士がパワーショベルを本件土地に搬入したこと、(2)午前一〇時三〇分ころから、岡部が運転して本件土地の地ならしを開始したこと、(3)午後一時一五分ころ、岡部は、本件土地と国鉄用地の境界付近を、瀬野駅から八本松駅側に向けてパワーショベルを使って掘削を開始したこと、(4)午後一時三〇分ころ、杉原は、危険を感じて、山陽本線上り線の列車見張り台付近から、本件土地にいた被告人らに向けて「工事をやめてください」と三回繰り返し、警告したが、被告人は「仮処分せえや」などと言って、これに応ぜず、杉原は時速三五キロメートルに列車を徐行させる手配をし、藤岡に対して、H鋼打ちの指示をしたこと、(5)午後二時一五分ころ、杉原は、被告人らに対して再度警告したこと、(6)午後二時一八分ころ、列車は徐行運転を開始したこと、(7)午後三時ころ、杉原は、被告人に対して、「電柱が危ないんで、工事をやめてください」と警告したこと、(8)その直後、掘削は一時中断されたが、また、掘削が再開されたこと、(9)午後四時ころ、国鉄側は現地対策本部を設置し、午後四時三七分ころ、送電を停止したこと、(10)午後五時ころ、岡部は掘削を中止したが、その結果、本件土地と国鉄用地との境界付近を、深さ約三・八メートルないし四・三メートル、幅約二メートル、長さ約七六メートルにわたって掘削し、上止六九号電柱付近の国鉄所有にかかる鉄道用地の路盤を崩壊させたこと、(11)午後七時ころ、町井が被告人と交渉した結果、被告人も国鉄関係者を本件土地内に入れることを承諾し、午後八時ころから掘削部分を埋め戻すなどの復旧作業が開始され、午後八時二五分ころ、列車の運行が再開されたこと、の各事実が認められる。

3  往来危険の発生の有無について

刑法一二五条一項の往来の危険を発生させるとは、電汽車の衝突・転覆・脱線などの実害が発生するおそれのある状態を惹起させることをいい、単に交通の妨害を生ぜしめただけでは足りないが、右の実害発生が必然的ないし蓋然的であることまで必要とするものではなく、その一般的可能性で足りると解すべきところ、前掲の関係証拠によれば、本件掘削によって、線路のある軌道敷自体が緩むことはなかったものの、上止六九号電柱付近路盤の掘削断面は著しく損なわれており、安全計算から電柱基礎の付近でスベリが発生する可能性が非常に高い状態にあったこと、スベリが発生して電柱が線路と反対側に転倒すると、線路の上に張られてある架線がはずれて垂れ下がるという可能性も高かったこと、更に、場合によっては架線の切断という事態の生ずる可能性もあったことが認められ、これらの事実に、前記2の認定事実を総合すると、本件掘削によって、実害が発生する一般的可能性があったことは明らかであって、往来の危険が発生したと十分認められる。

4  被告人に、電汽車往来危険罪及び威力業務妨害罪の故意があったか否かについて

被告人は、「国鉄関係者に対して二五〇万円支払わなければ、本件土地を掘削するなどといったことはない、本件掘削は、呉の土地の防災工事の費用の負担を国鉄側に拒絶されたためにしたものではなく、昭和五七年七月二六日、藤岡から掘削してくれ、そうしたら自分が本工事をとれる、自分が防護工事をするから危険はないと言われてしたものである、掘削についての指示はすべて藤岡から吉川を通じて岡部になされたもので、自分は指示していない、岡部が掘削している間、電車が止まったことは一切知らなかった。」などと弁解している。

この点について、公判廷において、吉川は、被告人の右弁解に沿う供述をし、また、岡部も掘削中は国鉄関係者が境界を指示してくれる等和気あいあいとした雰囲気であった旨供述しているが、他方、杉原は、昭和五七年七月一六日ころ、被告人から電話があり、その際、工事費用を出さないのならば、本件土地を掘るぞという旨の発言が被告人からなされたと供述しており、藤岡は、被告人に対して掘削してくれなどと頼んだことはない、自分は被告人に掘削するのを止めてくれるように頼んだ旨供述している。

そこで、いずれの供述が信用できるかについて、前記1及び2の認定事実をもとに検討するに、本件当時、被告人と国鉄とは、本件土地及び呉の土地の二箇所の境界等を巡って対立していたこと、国鉄側は、被告人が藤岡にそそのかされたという日より以前の昭和五七年七月二〇日ころから、鉄道用地と本件土地との境界付近の掘削に備える対策を協議していたこと、被告人は本件前日の七月二六日に町井に面会して話し合いをしたが、結局物別れに終わったこと、本件掘削に対応してなされるべき擁壁工事等は全くなされていないことが認められるところ、被告人には、本件土地の境界付近を掘削しなければならないような事情は当時全くなく、一方、国鉄側としても、被告人によって掘削されるということがなければ、多額の予算を組んで境界付近の強化工事をなす必要は存しなかったと考えられ、更に藤岡は被告人とそれほど親しい間柄ではないうえ、同人は国鉄の指名業者であって、その立場からして、被告人に掘削をそそのかすということは通常は考えられないのであり、その供述内容が自然であること等に徴すると、七月一六日ころ、被告人から本件掘削を申し向けられた等とする杉原らの供述は十分信用でき、そうすると、七月二六日に本件掘削を藤岡から頼まれたという被告人の弁解及び吉川の供述は著しく不合理であって、到底措信できない。

したがって、右検討結果に照らせば、本件掘削は、呉の土地の防災工事についての費用負担を国鉄に拒絶されたことに憤慨した被告人が、岡部に吉川を通じて指示してなさしめたものであって、このような掘削行為により、電車の往来に危険を生ずること等は被告人としても当然認識していたものと認めるのが相当であり、被告人に電汽車往来危険罪及び威力業務妨害罪の故意があったことは明らかであるといわなければならない。

5  本件掘削行為の威力性、業務妨害性及び可罰的違法性について

弁護人河村幸登は、本件掘削について、被告人が国鉄側に対し前日に掘削を通告していたこと、掘削は被告入所有地内で行われたこと、境界について両者の間で何等かの工事が必要な状況のもとでなされたもので、掘削は擁壁工事の前工事となるべき形態のものであり、一方国鉄側は相当多数の人員を本件土地周辺に配していたのであるから、危険を防止する措置を取りえたはずであって、威力性・業務妨害性はいずれもなく、可罰的違法性も存しなかったと主張するが、前認定のとおり、被告人と国鉄側との話合いは何度も物別れに終わっており、国鉄側に対して自分の土地に入ってはならない旨強硬に申し向けていたという事情を考えると、国鉄側が本件掘削に対して当日採り得た措置としては、乗客の安全等に配慮する以上、列車の運行を停止する方法以外にはなかったというべきであって、威力性・業務妨害性・可罰的違法性はいずれもこれを肯定できる。

6  以上により、弁護人の主張はいずれも採用できない。

7  なお、被告人は、判示第三の事実について、本件起訴は、国鉄に一方的に偏した、かつ、でっちあげ捜査に基づくものであって、公訴棄却されるべきであると主張するが、1ないし6で述べたように、被告人が岡部になさしめた掘削行為が、電汽車往来危険罪及び威力業務妨害罪に該当することは明らかであり、その捜査において違法があったことは全く認められないのであって、被告人の主張は採用できない。

(法令の適用)

被告人の判示第一の所為のうち、有印公文書変造の点はいずれも刑法一五五条二項、一項に、変造有印公文書行使の点はいずれも同法一五八条一項、一五五条二項、一項に、詐欺未遂の点はいずれも同法二五〇条、二四六条一項に該当し、判示第二の所為は包括して弁護士法七二条本文及び行為時においては昭和六一年法律第六六号(外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法)附則七項による改正前の弁護士法七七条に、裁判時においては右改正後の弁護士法七七条に該当するが、犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第三の所為のうち、電汽車往来危険の点は同法一二五条一項に、威力業務妨害の点は同法二三四条、二三三条、罰金等臨時措置法三条一項一号に該当するが、判示第一の各有印公文書変造とその各行使と各詐欺未遂との間にはそれぞれ順次手段結果の関係があるので、刑法五四条一項後段、一〇条により一罪として刑及び犯情の最も重い各変造有印公文書行使罪の刑で、判示第三は一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、同法五四条一項前段、一〇条により一罪として重い電汽車往来危険罪の刑でそれぞれ処断することとし、判示第二の罪について所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第三の罪の刑に同法一四条の制限内で法定の加重をし、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役四年に処し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文により全部これを被告人に負担させることとする。

(量刑の理由)

本件は、被告人が、判示のとおり、公務員である国立病院の医師の診断書を変造して、合計一四五八万円を騙取しようとしたが未遂に終わった事案、いわゆる非弁行為を行い、合計約四〇〇万円余りの報酬等を得ていたという事案及び自己の土地と隣接する国鉄の鉄道用地との境界付近を掘削して、電車の往来に危険を生ぜしめるとともに、約四時間にわたって列車の運行を停止せざるを得なくさせて国鉄の業務を妨害したという事案から成るが、まず、有印公文書変造・同行使・詐欺未遂の事案においては、自動車損害賠償責任保険請求手続を熟知していた被告人が敢行した計画的な犯行であり、社会的に信用性の高い国立病院の医師が作成した診断書を変造したという点で、社会に与えた影響は大きく、また、騙取しようとした金員も前記のとおり多額であって、その犯情は重く、次に、弁護士法違反の事案においては、被告人は、個人の肩書で報酬を受けて示談交渉等をすると、いわゆる非弁行為となって、弁護士法違反に問われることを知悉していたことから、これを免れるために交通事故災害相互共済会の代表会員と称して示談交渉等をなし、寄付金等の名目で依頼者から報酬を得ていたもので、犯行態様は極めて巧妙であり、その犯情は軽視しがたく、更に、電汽車往来危険・威力業務妨害の事案においては、国鉄側の対応にも問題があったことは窺われるものの、自らの要求が入れられなかったことのいわば腹いせに、乗客等に多大の迷惑をかけることをも顧みることなく敢行したもので、その動機において酌量すべき余地はほとんどなく、再三の国鉄側からの警告にもかかわらず、掘削を継続し、電柱倒壊の危険を生じさせ、約四時間にわたって列車の運行を停止させるなど、その犯行態様は極めて危険かつ悪質で、国鉄に与えた損害も多大であり、尚且つ社会に与えた影響も極めて大きいにもかかわらず、被告人は国鉄に対して何ら損害の賠償もしていないのであって、国鉄が被告人の厳重処罰を求めているのは当然というべく、加えて、本件は判示第一の有印公文書変造・同行使・詐欺未遂事件の保釈中に行われたことに照らすと、その犯情は特に重く、以上の各事案の内容を併せ考えると、被告人の刑事責任は極めて重大であるといわなければならない。

ところが、被告人は自己の弁解に終始しており、全く反省の態度が窺われないのであって、このような被告人に対しては厳重な処罰を以て臨まざるを得ないところであるが、有印公文書変造等の事案においては、詐欺の点は幸い未遂に終わっており、保険会社に現実の損害は生じていないこと、弁護士法違反の事案では、依頼者から受領した金員の一部は印紙代、郵便代等の費用としても使われていることが窺われること、電汽車往来危険等の事案においては、前記のとおり国鉄側にもその対応に落ち度があったことが窺われること、など被告人に有利と思われる事情もあるので、これらの点を十分考慮して量刑した。

よって、主文のとおり判決する。

別表一

番号 受診者名 変造内容 行使年月日 (ころ) 行使場所 行使した相手 騙取しようとした金額

1 大庭幸枝 左裸眼、同矯正欄に各「0.4」 右裸眼、同矯正欄に各「0.3」と記載する。 昭和五五年二月八日 呉市本通三丁目二番一一号 日本火災海上保険株式会社広島支店呉営業所 同営業所担当職員 四四七万円

2 奥川久司 左裸眼、同矯正欄に各「0.4」、右裸眼、同矯正欄に各「0.3」、正面視にて複視を生ずる旨の項に「○」と各記載する。 右同 呉市中通二丁目一番二四号 安田火災海上保険株式会社呉支店 同支店員 田中貞子 六七二万円

3 沖野スミヱ 左裸眼、同矯正欄に各「0.2」 右裸眼、同矯正欄に各「0.1」と記載する。 昭和五五年二月一二日 右同 三三九万円

(以上)

別表二

番号 依頼を受けた日時場所 依頼者 事件の種類 取り扱った法律事務の内容 報酬等

日時 場所

1 昭和五四年九月ころ 広島県呉市中通一丁目五番二五号 マッターホルン整形外科病院 沖野秀明 依頼者の運転車両が、菊川雅春の運転車両に追突され依頼者が入院通院の加療を要する受傷をした交通事故 (一)富士火災海上保険株式会社に対し 自賠責保険の後遺傷害による賠償請求をなし、同五五年六月初旬ころ、七五万円を呉信用金庫広島支店の被告人名義(交通事故災害相互共済会代表会員榎哲士)の預金口座(二〇一八六三)に振込を受けてこれを受領し、さらに同月二八日ころ沖野の後遺障害が一四級一〇号と認定されたことは不服で九級一〇号と認定されるのを相当とする旨異議申立てをした。 (二)住友海上火災保険株式会社に対し 損害賠償の示談交渉をし、同五五年一二月二日ころ、これを成立させ、同月三日、右示談金の残額六一万八、三八二円を広島銀行音戸支店の沖野秀明名義の預金口座(一九三〇四六)に振込み入金させた。 五万円

2 昭和五四年九月二五日ころ 右同 渡辺義照 依頼者が及川和彦運転車両に同乗中、伊名波友恵の運転車両から追突され、依頼者が入院・通院の加療を要する受傷をした交通事故 (一)加害者伊名波友恵との間で 損害賠償についての示談交渉をし、同五四年九月二七日、休業補償・慰謝料支払等についての念書を徴したうえ、同五五年四月一四日二四八万円を支払う旨の示談を成立させ、 (二)千代田火災海上保険株式会社に対し 口頭で休業補償・慰謝料の請求をなし、同五四年一〇月二五日、同年一一月三〇日に各二九万円、同五五年一月一〇日、同年三月二一日に各二〇万円、同年四月一七日ころに八二万円を、それぞれ呉信用金庫広島支店の渡辺義照名義の預金口座(一九八〇三〇)に振込み入金させた。 二九万円

3 昭和五四年一〇月一日ころ 広島県呉市西鹿田一丁目六番二七号の当時の被告人方 丸岡健司 依頼者の運転車両が、六原只之の運転車両から追突され、依頼者が入院加療を要する受傷をした交通事故 (一)同和火災海上保険株式会社に対し 自賠責保険の後遺障害賠償請求をなし、同五五年八月一一日、七五万円を、前記1(一)の被告人名義の預金口座に振込みをうけてこれを受領し、さらに同年九月一七日ころ丸岡の後遺障害が一四級一〇号と認定されたことについての異議申立てをした。 (二)第一火災海上保険株式会社に対し 損害賠償についての示談交渉をなし、内払金として、同五四年一二月二一日、呉信用金庫広島支店の丸岡健司名義の預金口座(一九九四九四)に、一二〇万円を振込ませ、同五五年二月二二日ころ、額面を一五〇万円の小切手を右会社広島支店において、上記丸岡に交付せしめた。 五九万円

4 昭和五四年九月ころ 前記1と同 佐々木久 依頼者の運転車両が、小田勉の運転車両に衝突され、依頼者が入院通院の加療を要する受傷をした交通事故 (一)加害者小田勉との間で、昭和五四年七月一九日に成立していた示談を無効として、新たな損害賠償についての示談交渉をし、同五五年三月一三日、これを成立させ、同日、右示談金の内金一〇〇万円を受領、同年一二月ころ、右示談金の内金五〇万円を、呉信用金庫広島支店の被告人名義の預金口座(一九三五八五)に振込みを受けてこれを受領し、 (二)富士火災海上保険株式会社に対し 自賠責保険の後遺障害による賠償請求をなし、同五五年二月二七日、呉信用金庫広島支店の被告人名義(交通事故災害相互共済会代表榎哲士)の預金口座(一八六三九二)に、二〇九万円の振込みを受けてこれを受領した。 七四万円

5 昭和五五年三月一五日ころ 前記3と同 小田光子 依頼者の夫小田圭吾運転車両が、下岡丸美運転車両に衝突され、右小田が死亡した交通事故 加害者下岡丸美及び同人の使用者呉通運倉庫株式会社に対し 損害賠償についての示談交渉をして、同五五年一〇月二九日ころ、これを成立させ、同年一一月七日ころ、右示談金残額四、一五四万四、六七〇円を、第一勧業銀行広島支店の小田光子の預金口座に振込み入金させ、さらに同年一〇月三一日ころ、前記示談書に列記する以外の債権者は存在しないことを確認する旨の確認書を交付した。 二二〇万円

6 昭和五四年一一月下旬ころ 広島市中区大手町一丁目五番二四号 外科島病院 守田英子 依頼者の運転車両が、西尾輝樹の運転車両に衝突され、依頼者が入院通院を要する受傷をした交通事故 AIU保険会社に対し 損害賠償についての示談交渉をし、同五五年九月二五日ころ、これを成立させ、同月二六日、右示談金の残額七三四万三四四円を前記1(一)の被告人名義の預金口座に振込みを受けてこれを受領した。 六万三六二〇円

7 昭和五五年一二月二日ころ 前記3と同 右同 右同 加害者西尾輝樹を相手どり 民事訴訟を提起するについて、損害賠償額を決定するなどして訴状を作成し、同五六年一月ころ裁判所へ提出した。 一一万円

(以上)

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